所得税の申告と住民税の申告で上場株式の譲渡所得・配当所得の扱いを変える方法

はじめに・・

表題の件、この日記の結論は、「お住まいの市区町村によって扱いが違うからホームページや電話等で確認しましょう!!」です。

ここでご紹介するのはあくまでも一例であることご了承ください。

 

そして本題。

 

上場株式を売ったり配当をもらったりした場合、

 

1)確定申告しないといけないケース

2)確定申告しなくてもいいけどした方が得なケース

3)確定申告は無視でよいケース

 

があります。

 

詳しくは↓のパンフレットを見ていただきたいのですが(PDFがでます)

https://www.nta.go.jp/users/gensen/nisa/pdf/jyojyokabushiki.pdf

 

今回の日記は「2)確定申告しなくてもいいけどした方が得なケース」についてです。

 

超ざっくり言うと、

一定の大口株主等以外がもらう上場株式の配当金と、特定口座(源泉徴収あり)で管理している上場株式の売却益は、基本的には確定申告しなくてOKですが、

所得が少ない人や、他の口座で管理している上場株式の売却損がある人などは、

確定申告したほうが所得税が安くなるケースがあります。

 

しかし、住民税や国民健康保険料の計算においては、

申告しないほうが有利であるケースがあります。

 

たとえば、上場株式の配当金については、

源泉徴収される住民税の率は5%ですが、

住民税の申告をしてしまうと10%(実際は一定の配当控除があるのでもう少し減りますが)になってしまいます。

また、国民健康保険料の計算上も、申告しなければその分の所得は無視されますが、申告したら含まれてしまうので高くなるケースがあります。

そして、70歳以上の方の医療費の窓口負担割合は、住民税の課税所得によって変わるので、申告したためにその年の窓口負担が高くなってしまう・・・というケースもあります。(街角の無料相談ではこちらについて怒って相談してこられる年配の方がけっこういらっしゃいます)

 

少し前までは、この両方のメリットデメリットを検討して確定申告するかどうかを決めないといけなかったのですが、

平成29年度の税制改正で、

所得税を安くするため確定申告で配当や売却の申告をしても、住民税は申告不要制度を利用できる、

つまり良いとこどりをすることができる、ということが明文化されました。

 

上場株式等の配当所得等について、所得税と住民税で異なる課税方式を選択できることが明確化されました/東村山市

 

 

しかし、現在のところ、所得税の申告と住民税の申告で取り扱いを変えるための手続きは市区町村によって違うようです。

 

基本的には「確定申告書とは別に住民税の申告書を出す」

ということなのですが、

 

・確定申告書より前に住民税の申告書を出してください、という市区町村

・確定申告書を出してから、その控えをつけて住民税の申告書を出してください、という市区町村

・確定申告書の第二表の住民税の欄の余白に「住民税は申告不要制度を選択する」旨を記載するだけでよいという市区町村

・特別な様式を用意している市区町村(一例↓)

株式等の譲渡益や配当に対する税金:練馬区公式ホームページ

 

など色々ありますので、事前に電話確認したほうが良いですし、

 

また、申告期限についても、「住民税の納税通知書が来る前でよい」、と書いているところもありますが、「確定申告期限と同じ」というところもありますので

こちらについても確認が必要です。

 

特に、個人住民税の申告書はまだ電子申告に対応していないので、

所得税については税理士が電子申告で代理送信している場合も住民税は原則として納税者の捺印が必要になってしまいますので、

申告期限がぎりぎりになるとこちらもあわただしくなってしまいそうなので早めの確認が必須ですね。。めんどくさ・・・

 

・・・税制改正に盛り込むなら統一様式も用意してほしかったですね。。確定申告書の第二表に意思表示の欄を作るだけで良いのに・・・

来年に期待!

 

自分でもやってみたレポートは↓

nekomage.hatenadiary.jp

クラウド会計ソフトから弥生会計への仕訳取り込みで消費税がおかしくなる件(2018年2月現在)

2018年2月にクラウド会計から弥生会計17および18に仕訳を取り込んだらどうしても消費税の部分がちゃんと反映されなくて悩んだけど消費税コードをいじって取り込んだら何とかなったよーって話です。

 

本当はどっちかの不具合なんだと思いますが、こういう連携系の不具合はどっちに聞いても相手のせいにされて時間の無駄になることが多いので、問い合わせせずに自分で何とかした記録です。

同じ現象が起こって困ってる人の参考に少しでもなればと思って備忘をかねて公開しますが、

この記事を書いた後すぐに改善されるかもしれないし、

電話して聞いてみたらもしかしたら公式のもっとやりやすい対処方法があるかもしれないし、

どちらのソフトについてもDisる意図はないということを先に書いておきます・・・

 

以下本題。

 

freeeというクラウド会計ソフトをつかっている顧問先がいるのですが、

少しソフト上の不具合が出ていて決算締め切り前に直るかどうか不安になってきたので

保険で弥生会計でも決算できるようにしておこう、と思って、仕訳取り込みの機能を使ってみました。

 

操作方法はfreeeが公表してくれています。

 

↓しかしここに書いてある「出力される仕訳帳ファイル」の形式は現在と違う(現在はJとPの列に消費税額がちゃんと入る)のでおそらくこのヘルプが公開された後にステルス仕様変更があったのでしょう・・・

support.freee.co.jp

 

弥生側からは「弥生会計オンライン」「やよいの青色申告オンライン」への取り込み情報しかみつけられませんでしたが・・

support.yayoi-kk.co.jp

 

一般的なデータのインポート機能についての説明が↓にあるのでこのやり方でやります。

support.yayoi-kk.co.jp

 

(注意点)決算繰越をした後の仕訳帳データを取り込む場合は、一番下の損益繰越仕訳を自分で消して取り込む必要があります。そこは各ソフトの繰越機能で自動的に入るものなので・・・・

 

で、取り込んでみたら、エラーは出ないんですが経費科目の消費税が不課税で入ってしまいました・・(なぜか収入科目はいける)

最初は弥生側の消費税設定の問題なのかな?と思って内税にしたり外税にしたり色々いじって何回もやりましたがやっぱりダメ・・・・

 

これは消費税コードがちゃんと認識されていないのではないのか?

見た感じは「課対仕入8%」で弥生側の消費税コードとあっているように見えるけどなんか違うのかも・・・

 

そう思って、freeeから出力したCSVデータを開き、H列とN列に入っている消費税コードのうち「課対仕入8%」を「課対仕入」にすべて置換したものを取り込んでみました。

 

すると、下記のように弥生側で消費税コードの読み替えについて設定せよと出てくるので、「課対仕入」を、「課税対応仕入8%」に変換させます。

 

f:id:nekomage:20180215124438p:plain

 

そしたらできました!

試算表も消費税申告書も同じものができた。

 

なんで「課対仕入8%」は認識してくれないのかは謎ですが・・・

 

いつか時間があるとき気が向いたら電話してみます。

 

「退職所得の受給に関する申告書」が提出されなかった場合の住民税の特別徴収の話

表題の件、今までなぜか扱ったことがなく、ちょっと迷ってしまったのと

ググってみてはっきり書いてあるサイトが見当たらなかったので備忘のため書いてみます。

 

社員が会社から退職金をもらう際の源泉徴収については2パターンあります。

 

1)社員が「退職所得の受給に関する申告書」を記入・提出する場合(一般的なケース)

 

会社はその申告書に記載された情報(勤続期間や他社にもらった退職金があればその情報など)に基づいて退職所得の金額を計算し、それをもとに源泉所得税額と住民税の特別徴収額を計算し、それを差し引いて退職金を払います。

この手続きがちゃんとできていれば、退職金をもらった社員は確定申告しなくてOKです。

 

具体的な計算は本題からそれるので割愛しますが興味のある方は↓へ・・

No.2732 退職手当等に対する源泉徴収|国税庁

総務省|地方税制度|平成25年1月1日以降の退職所得に対する住民税の特別徴収について

 

2)「退職所得の受給に関する申告書」の提出がない場合

これはレアケースだと思いますが・・・

たとえば非常勤役員や、色々掛け持ちで仕事していて他所から退職金をもらっていて、

よそからもらった金の情報を見せたくない人などは提出を断ってくる可能性があります。

 

会社は、所得税については、退職金の額面の金額に20.42%(復興税含む)を掛けた金額を源泉所得税額として差し引いて支払います。

退職金をもらった社員は、退職所得の源泉徴収票をもとに確定申告します。

 

で、住民税の特別徴収税額は???

住民税も額面の金額に10%掛けるの?多くない???

 

というわけで調べてみたところ・・・

額面の金額に10%、というわけではなく、

 

「退職金を払う会社での勤続期間・役員か否かに基づき退職所得の金額を計算して、それをもとに住民税の金額を算定してそれを差し引いて支払う」

 

のが正解だそうです。

 

これを明文化しているパンフレット等がネット上にないか探しましたがなかなか見つけられず・・

唯一、柏市のHPに明確に書いてありました!

www.city.kashiwa.lg.jp

 

 

一つの市からのみの情報だと、条例によるものではないかと言う心配もあると思いますので条文にも当たってみました。

 

地方税法第328条の6 第2項

「退職手当等の支払を受ける者がその支払を受ける時までに退職所得申告書を提出していないときは、前条第二項の規定により徴収すべき分離課税に係る所得割の額は、その支払う退職手当等の金額について第三百二十八条の二及び第三百二十八条の三の規定を適用して計算した税額とする。」

 

第三百二十八条の二というのは、課税標準についての規定で、退職所得の金額は所得税の例によって計算するという規定です。

第三百二十八条の三というのは税率の規定です。

 

つまり、退職所得申告書がでてなくても住民税の特別徴収の金額を計算するときは、今ある情報だけで所得税法の規定を使って退職所得の金額を計算するってことですね。

 

地方税けっこう奥が深いな・・・

税理士試験で住民税を選択したらこういうのもやるのかな?

日々勉強ですね・・・ 

 

 

顧問先と弥生会計データの共有をしたいんだけどできなかった話

私は会計ソフトは弥生会計をメインで使っています。

基本的には、自社で会計をしているお客さんとはバックアップファイルのやりとりやデータ送受信機能を使って処理をしていますが、

リアルタイムでデータの共有ができないか?というご相談をいただきました。

 

そこの会社さんは経理部員が複数いるためネットワーク版を使用されているとのこと。

 

自分で考えてみた方法は2つ。

1)データ共有機能というものがあればそれを使いたい

2)そういうのがないなら私がネットワークの一員として入るのはどうか?

 

電話で問い合わせてみたところ、

結論から言えば両方NGで、今のところ共有の方法はないから今までどおりデータ送受信でやってくれとのことでした!

 

1)のデータ共有機能は、「弥生ドライブ」を用いる方法はあるが、

ネットワーク版は対応不可とのこと・・・

www.yayoi-kk.co.jp

 

*今回は残念でしたが、スタンドアロン版を使っている小規模なところであればこれが使えるということがわかったのは収穫ではあります。

 

2)のネットワークの一員となる方法は、

・一つのPCに弥生会計を二つ入れることはできない。

→つまり、事務所の弥生会計と顧問先の弥生会計ネットワーク版は共存不可

弥生会計が入っていないPCを使うとしても、

顧問先のネットワークに会計事務所が入ることは規約違反

とのことでNGでした。

 

問い合わせた後、弥生オンラインってどうなんだろう?と思って調べてみましたら、そもそも「製造原価管理には対応していない」らしいのでダメでした。(そこの会社は製造業)

 

他社のオンライン会計ソフトのなかには製造原価管理ができるものもありますが、個人的に経理担当者にちゃんと経理知識のある会社にはお勧めできないものばかりなので、

今回はあきらめるとします・・・

 


今後の要望として、1)の方法をネットワーク版でもできるように開発してほしいとお願いしてみましたので今後に期待ですな。。。他の会計ソフトはできるものもあるらしいから弥生もきっと近々できると信じてる!!!

 

VALUの課税関係について

先日、税理士会支部主催の確定申告説明会に行ってきました。

 

そこでなんとVALUの課税関係についてちらっと触れられた!

VALUのことなんてあの事件以来すっかり忘れていた・・・

 

「公式サイトに詳しく載ってます」といわれたので、見てみたらヘルプのところにすごいくわしく載っていました!

 

 

help.valu.is

 

発行した人→雑所得(事業付随の場合は事業所得)

売買した人→原則として譲渡所得(総合)

チップ→贈与税

 

納税額を計算するためのビットコインのレートについては触れられていませんが、

国税庁のだしてる「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」によると、マイニング等で取得した場合の所得の計算は「取得日のレートで計算する」とあるので、これも同じだと思います。

 

公式がこんなにちゃんとしてると安心ですね。悪用する人による変な事件により寂れちゃったみたいでもったいない。

 

 

せっかくだから、VALUってどんな人が発行してるんだろ・・と思ってみてみたらたくさんいますね!

税理士でも34人いらっしゃいました。

投資した人0人って人が多かったけど、優待で無料相談とかつけていらっしゃる方は何人かに投資を受けておられるようです。

 

VALU自体よくわからん上に購入するための通貨がビットコインだからますます??って感じでやろうとも思わなかった私としては、チャレンジしておられる方々については素直にすごいなーと思います。

 

達人Cubeのアップデートがおかしくなった?!

あっという間に年末年始休みも過ぎて気づいたら仕事始めからそろそろ一週間がたとうとしています。

今年もよろしくお願いいたします!

 

1月は色々締め切りがありもしかしたら一番繁忙期かもしれない。

まだ時間あるうちにソフトのメンテナンスしとくかーと思って、

達人Cube(NTTDATAが出してる税務申告ソフト達人シリーズの中心となるソフト)のアップデートをクリックしたら・・・

開かない!

そもそもアイコンもどっかいってる!!

 

WindowsUpdateしても、再起動しまくっても、インターネットエクスプローラーの信頼済みサイトを見直しても、数日寝かしてもどうにもならないので、サポート様に電話してみました。

 

結果:ウイルスバスターの影響。アイコンが消えたのはウイルスバスターがアプリケーションを削除か退避させたせい。

 

これは最初に考えねばならない部分だったのに盲点でした・・・

勤務時代散々ほかのベンダーのソフトでそういうのがあってシステム担当の人がブチぎれてたのを見てたんですが、勝手にNTTDATAが出してるソフトは大丈夫という思い込みがありました。。。反省

 

解決策は単純で、(WINDOWS7の話なので他のOSはわかりませんが・・)

ProgramFilesのNTTDATAフォルダの達人Cubeのフォルダに入ってる下記のアプリケーションをウイルスバスターのスキャン対象外にする

・ClMU.exe

・Club.exe

・Plus.exe

 

*もし上記のどれかが消えていたら一回達人Cubeをアンインストールして入れなおししたあとにこの作業を行う

 

これをやれば解決します!

 

散々検索しても解決策が見つけられなかったので備忘のため書き残しました。

平成30年税制改正大綱がでましたね

今年もこのシーズンがやってきた!!

昨日出たそうです。

 

www.jimin.jp

 

私は例年この時点ではざっとみるだけで、詳しいことは某税理士法人様が出してくださるニュースレターで確認し、お客さんにドヤ顔で解説というのをやっていたのですが、

今年は今日いきなり質問が来ちゃって、もちろんニュースレターはまだ出てないので自分で読みました。

 

新聞によく載ってる

・給与所得控除引き下げ

基礎控除引上げ(ただし所得によって逓減があり今より減る人もいる)

公的年金控除引き下げ

・賃上げ・設備投資に対する法人税減税

・大規模法人の電子申告義務化

などなどは置いといて・・・

 

私が印象に残ったのは

 

所得税の事業所得の青色申告特別控除が55万円になる(現65万)

ただし、電子申告または電子帳簿保存(仕訳帳・総勘定元帳)をしていたら65万OK

・支払調書を税務署に提出する枚数が100枚以上の事業所は

紙ではなくCDROMか電子申請が義務付けられる

 

ってとこです。

電子化に対する本気度が感じられる。

今後の抜本的な改革は電子化ありきで進めていくのでしょうね。

 

税制改正大綱で読むと、所得税の給与のとことか年金のとことか基礎控除とか、複雑でわかりづらくて計算メンドイ!!って思うけど、

WEBの確定申告コーナーとかソフトで申告書作ったらメンドイ計算自分でやらなくていいし、電子化メリット大ありですよね。考えたな・・・

確定申告無料相談会の行列が今まで以上に長くなる未来が見えますが・・・・

 

「改革すること」自体が目的になっている拙速な改革ならやらないほうがマシ、と某都道府県を見ていつも思ってて、今回の税制改正もそれだったら嫌だなと心配でしたが、

そういうわけではなく今後のビジョンありきの練られたもののように見えたのでよかったです。

 

まずは私は電子帳簿保存ができるように今から研究しないと!