炎上で考えたクラウドファンディングの税金の話

こないだの週末はコミケクラウドファンディングの話した人が燃えていましたね。

 

私はコミケは行くとしてもすいてる時間帯にしか行かないのでその人がコミケに出ようと出まいとどうでもいいのですが・・・

クラウドファンディングで資金集め、しかも「個人でやっている」と言い張っているところで、税金について考え込んでしまいました。

 

<追記:件の方はコミケ出展を取りやめられたようですのでこのブログは一般論としてお読みください>

 

クラウドファンディングにはいろんな種類があるようですが、

今回のように金を集めて物を作って、金払った人に金額に応じた品物を送るという仕組みの物は

「購入型クラウドファンディング」に該当し、

税務上は「売上」として取り扱います。

個人がやる場合は所得税がかかり、法人がやる場合は法人税がかかります。

その人が消費税の課税事業者であれば消費税もかかります。

 

事務所がやっているのであれば、こういう処理は全部事務所がやればよいので、

大体の芸能人の方は事務所主催でなさっていると思いますが、

今回はご本人が「私個人でやります!!!」と言っておられるので、

もしそれが本当であれば、ご本人は確定申告でこれらの処理を全部やらないといけません。

(この方ぐらいになると税理士もちゃんとついているはずなのでその辺は抜かりないと思いますが)

もちろん、表向きはどうあれ実際は事務所がやってるというケースも大いにありうるしそれは我々には知りえないことだと思いますが、こうやって大々的に噂になると税務署のチェックは絶対入るでしょうね。。

 

で、もし個人でやっていると仮定すると、

本件は面倒な論点があります。

それは、コミケは12月にあり、クラウドファンディングのリターンは1月に行われる、

ということ・・

(事務所がやってたとしても12月決算なのであれば同様のめんどくささは起こります)

 

個人の所得税の締日は12/31ですので、

今年の売上にすべきか、来年の売上にすべきか悩まないといけません。

 

所得税の基本通達36-8に、売上に計上すべき時期について以下のように規定されています

 

(1) 棚卸資産の販売(試用販売及び委託販売を除く。)による収入金額については、その引渡しがあった日

 

〔収入金額〕|通達目次 / 所得税基本通達|国税庁

 

なので、普通に考えると売れた日になるので、

コミケの売上については今年の売上、クラウドファンディングの分については来年の売上ということになると思われますが、

原価の部分についても、売れた分に対応した部分だけしか経費にできないので、棚卸をして、原価計算をちゃんとしないといけませんね。

(売上の計上時期については、クラウドファンディングの細かい内容によっていくらでも変わるところですので実際はこれで正しいかどうかはわかりません。これは単なる私の予想です・・・)

 

あともう一点、個人でやるとしたら、個人事業主のインタビュアーさんやカメラマンさんにギャラを払う場合の源泉徴収についても考える必要があると思います。

 

基本的に、個人事業主源泉徴収が必要だと定められている内容のギャラを払う場合は源泉徴収をする必要がありますが、

個人が支払を行う際の源泉徴収義務については、以下の規定があります。

「その報酬・料金等の支払者が個人であって、その個人が給与等の支払者でないとき又は給与等の支払者であっても常時2人以下の家事使用人のみに対する給与の支払者であるときは、ホステス等に報酬・料金等を支払う場合を除き、源泉徴収する必要はありません。」

 

なので、他のだれにも給与を出していなければ源泉徴収は必要ありませんが、

付き人の方に個人で給与を出していたり、ご家族を専従者として給与を出していたりしていたら本件のギャラについても源泉徴収が必要になります。

 

特に専従者の給与は出している意識がない個人事業主さんもいらっしゃいますので、個人の方にギャラを払う場合は顧問税理士に連絡を取り確認したほうがいいと思います。

源泉漏れは後で返してもらわないといけなくなったりして非常に面倒なので・・・

 

 

他にも色々考えないといけないこと(根本的な所得区分についてなど)があり、この方の顧問税理士の方大変だな・・・という気持ちでいっぱいです。

もしネット等を見ないタイプの人で定期的に連絡もとっておらず、確定申告作業の時にこの件を初めて知ってしまったらと思うと・・・・ガクブル

 

こういうことは今や有名人であろうとなかろうと起こりうることですし、

税法はまだまだ複雑で、知識がないとわからないことが多いし、税理士に相談すべきなのかどうかもわからないことが多いと思います・・・

税務署は個人のSNSやブログは結構チェックして目についた人は申告書と照合したりしているようですので、

私も、ネットストーカーウザイと言われてもいいからお客さんのネット上での動向はできる限り追って気になることがあったら積極的に聞いていこうと改めて思いました。。。